福島未来創造支援研究センターは、9月7日~11日に「地域から学ぶ復興学セミナー」を、9月9日に「災害・被ばく医療科学サマーセミナー」を福島県浜通り地区で行いました。これらのセミナーは福島県イノベーション・コースト構想推進機構事業(「復興知」事業(注))の一環として行われたものです。いずれも国内の大学生等を対象に、福島の現状や被ばく医療科学について理解してもらうことを目的として開催したものです。今年度も現地開催に加え、「災害・被ばく医療科学サマーセミナー」は災害被ばく医療に感心のある方々を対象にオンラインでもセミナーを開催いたしました。
「地域から学ぶ復興学セミナー」では9月7日に震災遺構請戸小学校の見学を行いました。8日には東日本大震災・原子力災害伝承館の見学と語り部講話を受けた後、東京電力廃炉資料館の見学や処理水と廃炉についての説明を受け、実際に福島第一原子力発電所内に入構し現在の福島第一原子力発電所の様子を見学しました。9日はLinkる大熊で災害被ばく医療科学サマーセミナーと合同セミナーを行い、本学の髙村昇教授が「被ばくと健康、クライシスコミュニケーション」、北海道大学の佐藤努教授が「除去土壌についての理解」と題し講演を行いました。その後現地では大熊インキュベーションセンターやCREVAおおくまへ行き、若い移住者の方のお話を聞いたり、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)の職員より食品と内部被ばく検査の実態についての説明を受けました。その後JAEA ANALYSiS LAB.の見学を行い身近に放射性物質が存在することを学びました。10日は中間貯蔵施設と中間貯蔵事業情報センターの見学を行った後、いわなの郷で川内村の遠藤雄幸村長より「これからの福島を担う若者に学んで欲しいこと」と題したビデオメッセージを視聴し、かわうちラボの井出寿一理事が「川内村の原子力災害からの復興」と題して講演を行い、最後に川内村や大熊町、双葉町、富岡町の住民の方々との意見交換会が行われました。最終日の11日はLinkる大熊にて学生によるグループディスカッションと、グループ発表、まとめが行われました。グループ発表とまとめではセミナーを受講する前の自分を振り返り、福島へ実際に訪れることで学んだことや将来について発表されました。
両セミナーには東日本国際大学やいわき短期大学といった福島県内の大学生、長崎大学と福島県立医科大学の共同大学院である「災害・被ばく医療科学共同専攻」修士学生といった様々なバックグラウンドを持った学生が参加し、災害・被ばく医療科学分野の知識に加え、福島復興の現状について意欲的に学び、どのプログラムにおいても質問の絶えないセミナーとなりました。
本学は今後も国内の原子力災害医療に関わる方々を対象としたセミナーを行い、福島県だけでなく様々な大学や機関等と連携し、福島県浜通り地域における人材育成に向けた取り組みを行っていきます。
(注):「復興知」について 福島イノベーション・コースト構想(外部リンク)